2011年12月23日金曜日

前世人格に関する考察その2

(その1からのつづき)
② 魂の二層構造仮説と前世人格の座

イアン・スティーヴンソンによって海外で発見された応答型真性異言と考え合わせると、前世人格の存在する座を魂の表層である、とするSAM前世療法の仮説の検証は、ますます意味深い作業になると思っています。
なぜならば、スティーヴンソンは、呼び出された「トランス人格(前世人格)」が真性異言を話すことまでは言及しても、その「トランス人格(前世人格)」の存在する座はいったいどこにあるのかまではっきり言及しようとしていません。
ただし、彼は、「前世から来世へとある人格の心的要素を運搬する媒体を『心搬体(サイコフオア)』と呼ぶことにしたらどうか」(『前世を記憶する子どもたち』359頁)とまでは提唱しています。
それは実証を重んじる科学者としてのスティーヴンソンの慎重な自制からでしょうが、SAM前世療法は、それ以上言及されなかった前世人格の存在する座までも検証することになるからです。
ところでスティーヴンソンは、次のような謎とその謎解きを次のように述べています。

「私が特に解明したいと考えている謎に、イェンセンやグレートヒェンが母語(注 スウェーデン語とドイツ語)でおこなわれた質問と同じく、英語でおこなわれた質問に対しても、それぞれの母語で答えることができるほど英語をなぜ理解できたのかという問題がある。
イェンセンとグレートヒェンが、かつてこの世に生を享けていたとして、母語以外の言葉を知っていたと推定することはできない。
二人は、したがって、自分たちが存在の基盤としている中心人物(注 英語を母語とする被験者のこと)から英語の理解力を引き出したに違いないのである」 (『前世の言葉を話す人々』春秋社、235頁)。

このことは、「ラタラジューの事例」にも当てはまる謎です。
なぜ、ネパール人前世人格ラタラジューが、知っているはずのない日本語を理解し、筆者と日本語で対話できるのかという謎です。
これはラタラジューが顕現化した第一回セッションからこだわり続けていた謎でした。
だから、応答型真性異言実験セッションの始めに「ラタラジューはネパール人です。それなのに日本語が分かるということは、翻訳、仲立ちをしているのは魂の表層の『現世のもの』と考えてよろしいですか? 」という質問を里沙さんの守護霊にしたのです。
これに対して、里沙さんの守護霊とおぼしき存在も、そのとおりだと認めています。
またこの存在は、魂レベルでは言語の壁がなくなり自然に分かり合えるとも告げています。
つまり、「魂の表層仮説」のように、魂の実在を仮定すれば、スティーヴンソンの「特に解明したい謎」に解答が出せるかもしれないということです。
魂の表層に存在し、ラタラジューとつながっている「現世のもの(現世の人格)」が通訳をしているという説明ができることになるかもしれません。
(つづく)

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